まずは、ちょいと気になった新聞記事を取っ掛かりに始めたいと思います。
引用元:ネットで流行「アインシュタインの予言」、人違い?(朝日新聞)
http://www.asahi.com/science/news/TKY200606070141.html
アインシュタイン博士が日本をべた褒めしたとされる「アインシュタインの予言」という文章が、ネットや一部の書籍で広まっている。だが実は、博士とはなんの関係もない言葉が孫引きで広まっただけだと、東京大学の中澤英雄教授(ドイツ文学)が主張している。調査でたどり着いたのは、シュタインという法学者の言葉とされていた文章だった。(後略)
> アインシュタイン博士が日本をべた褒めしたとされる「アインシュタインの予言」という文章
…この予言というのは、どうやら以下の文章の事を指しているようです。
「神に感謝する。我々に日本という尊い国をつくっておいてくれたことを」といったくだりがあるこの文章は、多少の相違はあるものの、1950年代から軍人や宗教家の書籍で紹介され始め、最近は日本文化を誇る「ちょっといい言葉」としてネットで引用されることも多くなった。
「近代日本の発展ほど世界を驚かせたものはない。一系の天皇を戴(いただ)いていることが、今日の日本をあらしめたのである。私はこのような尊い国が世界に一カ所ぐらいなくてはならないと考えていた。世界の未来は進むだけ進み、その間、幾度か争いは繰り返されて、最後の戦いに疲れるときが来る。そのとき人類は、まことの平和を求めて、世界的な盟主をあげなければならない。この世界の盟主なるものは、武力や金力ではなく、あらゆる国の歴史を抜きこえた最も古くてまた尊い家柄ではなくてはならぬ。世界の文化はアジアに始まって、アジアに帰る。それには、アジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。我々は神に感謝する。我々に日本という尊い国をつくっておいてくれたことを」
こいつはウェブ上でもそれなりに有名なネタのようで、私も巨大掲示板2ちゃんねるを代表とする様々なウェブ上のページでこのコピーテキスト──俗に言うコピペという奴──を目撃したことがあります。
さて…まず、この文章の内容が意味する事についてですが、実は私自身は全く興味が無いので、なんと!全く言及するつもりがありません。
今回の本題は別のところにあります。
こういうウェブ上に散乱する「我々が知らなかった衝撃の真実が記された、出自不明のテキスト」と、それにまつわる真偽についてのお話です。
知的なネット言論人の方々のお言葉を拝借すれば、情報が乱れがちなこのIT時代におけるメディアリテラシーとは何ぞや、という小難しいお話になるんでしょうが、
あまり本気になってリテラシーなんぞを追求し始めますと当ブログの守備範囲及び私の処理能力を逸脱してしまいますので、今回は
私が訪問先々で収集してきたネタを(私の評価は抜きで)ひたすらリンクしまくるというという安易な手法で済ませます。
今回話題に上げるネタの調査・検証や議論、そもそも真偽はどうなのかについては、あえて私からは言及しません。
○○というネタについて、実は真偽の議論があるんだ、と言う事実をまず知っていただき、万が一にもそれがデマだったとして、それらを無条件で信じちゃってたら後が怖いな、という現実に気づいていただくきっかけになればなと思います。
さて、一旦アインシュタインの話題から離れて、別のネタに移りましょうか。
こちらも一部の人々の間で都市伝説となっている、有名な政治・ニュース系ネタのコピペ。
このネタの
主役は政治家…それも知る人ぞ知る、最近では寄稿したブログを大炎上させたことでも有名な、かの社民党党首の福島瑞穂氏です。
このコピペは、
とあるTV番組で繰り広げられた田原総一朗氏との討論をテキスト起こしにしたものと説明され、色々な意味でネガティブなイメージを持たれる事が多い福島氏への批判目的で使用されているようです。
福島瑞穂 「警察官の拳銃使用は絶対だめです。犯罪者にも人権があります。例え凶器を持った犯人にでも警察官は丸腰で確保すべきなんです。」
田原総一朗 「それで警察官が殉職したら?」
福島 「それは警察の職務ですよ。」さらりと簡単に言う。
会場 「ええ!!??っ」という驚愕の声が響き渡った。福島も気まずくなり、
福島 「それに犯人が抵抗したら無理して逮捕する必要ないと思うんですよ。逃がしてもいい訳ですしぃー。」
田原 「じゃ、その犯人が別の殺人事件起こしたら?」
福島 「それは、それで別の問題ですしぃー」
福島 「ですから、日本はスイスのような平和中立国を目指すべきなんですぅ。」
田原 「スイスは国民皆兵制で、一般家庭に自動小銃が有る国だよ。」
福島 「いえ、例えばスウェーデンみたいな中立国もあるわけですしぃ…」
田原 「スウェーデンはナチに協力して中立を守った国だし、今では武器輸出大国だよ。」
福島 「えーと、ベルギーのように歴史的に中立を貫いた国もあるんですぅ。」
田原 「ベルギーみたいに何度も外国軍に蹂躙されてもいいの?」
福島 「・・・・」
で、アインシュタインのコピペネタが報道にまで進出した丁度タイムリーなタイミングで、この福島瑞穂コピペに対するデマ説を唱える勇気あるブロガーが登場したのです。
成城トランスカレッジ! ―人文系NEWS & COLUMN― - 「福島瑞穂の迷言」という都市伝説について(事務所コメント付)
http://d.hatena.ne.jp/seijotcp/20060606/p1
ここは去る筋の方々の間ではかなり著名なブログなので、ここのブログ主さんの払った労力も考慮に入れますと、デマ説の信憑性も割と高いかなという印象をなんとなくですが持ってしまいがちですが、その一方でこの件に関してこういう議論も。
大佐blog in ニュー速:福島瑞穂あの朝生発言はデマだった!?(事務所コメント付)というのはガセ?
http://blog.livedoor.jp/oisa25012/archives/50602391.html
このネタの追求はこの辺にとどめておきます。
次。
同様のコピペネタですが、もうちょっと前にこんなニュースがありました。
ZAKZAK - 「爆笑問題」太田に護衛! ネット掲示板に…
http://www.zakzak.co.jp/gei/2006_05/g2006052601.html
実際のコピペ内容は以下のとおり。
私がリアルタイムで見かけたときのものと比べてだいぶ改変が加えられたようで、もはや当時の原形を全く留めていません…というか誰がどう見ても釣りです、本当にありがとうございました。
大田光先生 TBSラジオでの素晴らしい発言集
・日本人は中国韓国北朝鮮に永遠に謝罪続けても足りねえんだよ。靖国神社は放火されろ。
・イラク人質3人を自己責任で叩いてる日本人は糞。
・数十兆円の賠償金を払って北朝鮮に謝罪しろ。。拉致家族はいつまでもウゼエんだよ。
・中国の反日感情は日本が全部悪い。全ての原因は日本。毎年数千億円増額ODAを継続すべき。
・馬鹿スピルバーグ・あほコッポラの映画を見てやつは生きる価値のない大馬鹿者。
・郵政民営化に賛成したバカ国民は全部死ね。自民に投票した日本人全部死刑。
・ブッシュこそが悪、テロリスト。 911はイスラムの正当抗議行動で、決してテロではない。
・堀江、三木谷、村上、こいつら泥棒で窃盗犯、カスみたいなゴミ野郎。
・芸無し浅草キッド、禿げのガダルカナルが土下座させやがった。ウゼエ軍団だよたけし死ね。
・石原都知事、あまりに馬鹿で偏狭な右翼。とっとと殺されろゴミ犯罪者。
・姉歯ヒューザー構造偽造問題の住民被害者は全額税金で保護し、新築を建替えすべき。
・森本哲郎はボケ老人 能無し紳助は暴力犯罪者。俺の才能で追い出したぜ。
・DT松本は才能の枯れた終わった芸人。しかも金の亡者、弱虫で卑怯者。
・DT浜田は賄賂癒着でしつこい関西芸無しバカ。声がデカイだけのウザチビ。
・ナイナイは才能ゼロの低脳コンビ。吉本じゃなきゃテレビさえ出てないね(笑)
・さんま、紳助、完全に終わったな。消えていいよ。
・とんねるず石橋は数字取れねえバカ消えろ。木梨能無し年収数億、ザケロ。
・小泉はきちがい総理。俺が総理として適任。
・五輪で日本だけ応援しているのは本当に馬鹿。中国韓国への応援の方が大事。
・日の丸振って君が代歌った荒川静香は右翼名簿に一家で名を連ねる戦争賛美一族。
・韓国人と非友好的なイチローは精神異常者。右翼団体支持の犯罪者である。
・独島は歴史的に完璧に韓国領。東シナ海上ガス田は間違いなく中国領。日本人はアホばかり。
*******************************************
大田発言=自民支持・親米思想の馬鹿日本人は全部死ね。
大田思想=反日、親中国親韓国。打倒日本抹殺のアジア思想。
大田が資金援助する革マル極左翼活動家・プロ市民に献金義務化せよ。
このネタはリンク先の記事のとおり、事務所側が公式にきっぱり否定している形となっているようです。
こういうのもあります。
北朝鮮による日本人拉致問題に関連して最近風当たりの厳しい在日本コリアンに対する、ウェブ上で悪意をもって流布され続けている生活保護問題に関するデマの話。
児童小銃 - 「在日の就業と生活保護の統計まとめサイト」はデマサイト
http://d.hatena.ne.jp/rna/20050106/p3
冒頭のアインシュタインの予言ネタに近いお話。
ポンニチのコピペ(´・ω・`) - オランダ サンティン・アムステルダム市長 現内務大臣 の発言の件
http://www.geocities.jp/ponnitisuki/copipe.html
ちょっと別のカテゴリに移って、歴史問題とかではこういう意外なネタもあったりして。
マリー・アントワネット - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88
「パンが無ければお菓子を食べればいい」
民衆が貧困と食料難に陥った際の、マリー・アントワネット(またはルイ15世 の娘(ルイ16世の叔母)であるアデレイド内親王)が言ったとされる「パンが無ければお菓子(ケーキまたはクロワッサンとも。なおクロワッサンは、マリー・アントワネットがオーストリアから嫁いだ時にフランスに伝えられたという伝説がある。)を食べればいいじゃない」の台詞が良く知られているが(原文は“Qu'ils mangent de la brioche”、直訳は、彼らにはブリオッシュを食べさせなさい)。
しかし、これはアントワネット自身の言葉ではない。
「パンが無ければお菓子を食べればいいのに」というアントワネットの台詞はベルサイユのバラとかで結構有名になった話なんじゃないかなと思うのですが、これも実は諸説があることを最近知りました。
イラク戦争でアメリカ軍が使用したとしてイタリアのマスメディアに報道された謎の大量殺戮超兵器「白燐弾」を巡る、何がデマで何がデマじゃないかの論争。
週刊オブイェクト - 謎の超兵器と化した白燐弾
http://obiekt.seesaa.net/article/9465205.html
模型ダイアリー、実質カミさんのキャラ弁ダイアリー - 白燐弾報道をデマとするデマに対して
http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20060103/p1
白燐弾と言えば、かの今井紀明さんつながりで知った劣化ウラン弾の話もあったなぁ。
これも、劣化ウラン弾は実質核兵器か否かみたいな論争があって、未だにはっきりしてなかったりします。
劣化ウラン弾 - Google 検索
http://www.google.com/search?hl=ja&lr=lang_ja&ie=UTF-8&oe=UTF-8&q=%E5%8A%A3%E5%8C%96%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%B3%E5%BC%BE&num=50
なんか政治寄りの小難しげなネタばかり掘ってますが、まぁこれは俺主観でのネタのインパクト度でこうなっちゃいました。
他のジャンルだとイマイチ決定打に欠けるというか…わかりやすいネタはなかなか落ちてないもんですよ。
あ、そうそう。
冒頭に挙げた新聞記事にあったアインシュタインの予言に関するデマ説ですが、記事自体は今日付けの記事ではあるものの、
そもそもデマ説と、そのデマ説自体がデマだと言う違和感の表明も随分昔に行われていた形跡があったりしますので二度ビックリです。
Let's Blow! 毒吐き@てっく - アインシュタインの予言
http://pride.arrow.jp/blog/2005/11/post_242.html
最後に、こういう怪しげな掲示板から情報を探してくるのも、2ちゃんねるあたりと違って、意外と意外な結果が得られたりするかもしれません。
2ちゃんと同じで、薬にも毒にもなる可能性はありますが。
オルタナティブ@政治経済 - ネットウヨのガセビアを指摘するスレ
http://yy31.kakiko.com/test/read.cgi/x51pace/1145445496/
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学校で先生に教わった。
親や友達から聞いた。
本に書いてあった。
新聞に載っていた。
ジャーナリストや言論人がそう主張していた。
被害者が涙ながらに訴えた。
他国が伝えた。
世論はこうだ。
政治家が発言していた。
警察がそう発表した。
裁判で判決が下された。
昔の資料に書いてあった。
インターネットで、見た。
結局のところ、これら「デマの可能性が否定できない」事象に対して、何が正しくて何が間違っているのかを判断するのは、究極的には議論の直接的な当事者で無い限りはなかなか難しいように思え
ます。
というか、そもそも私レベルの人間では、なるだけ中立的な視点に立とうと努力すればするほど、円満な解決策が想像できず、望ましい着地点から遠ざかってしまう。
デマを作る人、デマを信じてしまい複製・劣化・脚色をもって流布する人、デマに対抗すべく反証をする人、反証するために新たなデマを生む人…。
ウェブ上を介した、質的・量的な劣化・変質を伴う伝言ゲーム。
…私は自分自身が、例えばこの伝言ゲームにおける「情報を劣化させる側」に当たってしまうのではないかという事に今、緩やかな恐れを抱いています。
感情論以外でネタの真偽が判断できないとするならば、私レベルで
今伝えられる確かな事実は、たったそれだけです。
このエントリ前半に挙げた数々の疑惑など、今も疑惑のまま自分の記憶領域の中に押し殺すしかない。
では、私たちは、この情報過多の飽和世界の中で、真偽が判断し辛い情報の渦の中で、一体何を見れば良いのか。
真偽のはっきりしない物事・事象に対して、言及しなければ良い…いや、そんな馬鹿な話がどこにある。
真偽のはっきりしない物事・事象に対して、言及者が「~だろう、~らしい、~かもしれない」等と断定・断言を避けるような振る舞いをすれば回避できる…などというのは、流石に誰しも疲れてしまうではないか。
結論は出ませんが、一方でこう思うのです。
それはそれとして、ウェブ上の電気羊達が見る夢は、果たしてリアルワールドのヒトを抹殺することがあり得るだろうか?
私は、それによって誰かが傷付いたり、あらゆる物事のルールから逸脱しない限りは、自分が見たいものだけを見ればいいのかもしれない、などと個人的に思う。
その程度には日本は自由だからだ。
疑惑は、まだ疑惑のままの形を留めるのであれば、まだそれなりに公平で中立なのかなと思う。
万能にして正しきリテラシーが求められる現代社会において、それではいささか中途半端で卑怯な考え方かもしれませんが。